キッチン水栓の交換を検討して見積もりを取った際、友人の家よりも自分の家の方が遥かに高かったという経験はないでしょうか。実は、キッチン水栓の交換費用を左右する最大の要因の一つは、現在設置されている水栓の「取り付けタイプ」にあります。自分のキッチンのタイプを正しく理解することは、正確な予算を立てるための第一歩です。まず、現代の住宅で主流となっているのが「台付きワンホールタイプ」です。シンクの天板に直径三十数ミリの穴が一つ空いているタイプで、製品のバリエーションが最も多く、工事も比較的スムーズに進みます。このタイプの標準的な工事費は一万三千円から一万八千円程度です。次に「台付きツーホールタイプ」ですが、これは穴が二つ空いており、その間隔(ピッチ)が規格で決まっています。このタイプは交換用の製品が限られるため、デザインの選択肢が狭まることがあり、製品代が少し高くなる傾向があります。工賃はワンホールと同等か、調整が必要な場合に数千円加算される程度です。最も注意が必要なのが、古い住宅に多い「壁出しタイプ」です。壁の中から水とお湯の配管が直接出てきているタイプで、この交換作業は配管の腐食状態に大きく左右されます。古い配管が壁の中で折れてしまうといったトラブルが起きやすく、慎重な作業が求められるため、工賃は二万円を超えることが珍しくありません。さらに、もし「壁出しタイプから、今流行りの台付きワンホールタイプに変更したい」と考えた場合、費用は劇的に跳ね上がります。壁を解体し、壁内の配管をシンク下まで引き回し、天板に新しく穴を開けるという大掛かりな工事が必要になるため、水栓交換だけのつもりが、最低でも十万円から二十万円程度の「設備工事」へと発展してしまいます。また、意外な伏兵となるのが「分岐水栓」の存在です。食洗機を使用するために既存の水栓に分岐金具を取り付けている場合、新しい水栓にその金具が適合しなければ、さらに一万円から一万五千円程度の部品代が追加されます。このように、キッチンの水栓交換費用は単に「古い蛇口を外して新しいものを付ける」という言葉だけでは片付けられない、複雑な要因が絡み合っています。見積もりを依頼する際は、必ず現在の水栓の写真を全体像、根元、シンク下の三方向から撮影して業者に見せることが重要です。これにより、現場での「予想外の追加費用」を未然に防ぎ、正確な予算計画を立てることが可能になります。