技術の進歩により、最新のトイレはかつてないほどの節水性能を実現しています。十数年前のモデルが一度の洗浄に十リットル以上の水を使用していたのに対し、最新型ではわずか三.八リットル程度で済むものも珍しくありません。これは家計にとっても環境にとっても素晴らしいことですが、一方で、排水設備の現場では新たな課題が浮き彫りになっています。それが、新型トイレへの交換後に発生しやすくなるトイレ排水管つまりの問題です。便器そのものの洗浄能力は非常に高く設計されているため、便器内を綺麗にするには少ない水で十分ですが、問題はその先の排水管です。排水管は、かつての大量の水で押し流すことを前提とした太さや勾配で設置されていることが多く、そこに最新の節水型トイレを導入すると、固形物を配管の出口まで運びきるための「押し流す力」が不足してしまうのです。特に、トイレが建物の奥まった場所にあり、排水管が長く横に這っている構造の場合、トイレットペーパーが途中で堆積しやすく、トイレ排水管つまりの発生リスクは格段に高まります。また、築年数が三十年を超えるような住宅では、排水管の内側に錆や汚れが付着して凹凸ができていることが多く、これが水の勢いを殺してしまいます。最新設備を導入したにもかかわらず詰まりに悩まされるという皮肉な事態を避けるためには、いくつかの対策が必要です。まず、トイレを交換する際には、事前に専門業者に排水管の状態を点検してもらい、必要であれば管内の高圧洗浄を行っておくことが推奨されます。また、使用時の工夫として、大量のトイレットペーパーを使用する際は、一度に流そうとせず二回に分けて洗浄する、あるいは「大」のレバーを積極的に使用するといった意識改革が求められます。節水は大切ですが、トイレ排水管つまりを起こして修理に多額の費用をかけたり、大量の水を使って掃除をする羽目になったりしては本末転倒です。設備の進化と、それを受け入れる住宅側のインフラの状態には必ずギャップが存在することを理解し、最新技術を過信しすぎないことが重要です。トイレ排水管つまりというトラブルを賢く回避しながら、新しい設備の恩恵を享受するためには、正しい知識に基づいた適切な使い分けと、定期的なメンテナンスが不可欠なのです。
最新の節水トイレが招くトイレ排水管つまりのリスクと対策の知恵